Off the record 

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【読書感想1】「蹴りたい背中」(川出書房新社)綿矢りさ

頬杖をついて手のひらでほっぺたと口を歪むほど押さえつけ,眉間に力を入れて,仏頂面をキープし,何がなんでも噴き出さないように努力をする。(p.74)

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帯文には「愛おしいよりも,いじめたいよりも もっと乱暴な,この気持ち」とあるので,にな川への思いがメインテーマなのかもしれないけど,自分にとっては,ハツの自己の自分に向けた心情が映える作品。

 

冒頭からの教室内での自分の立ち位置をめぐる描写,あの感覚を味わった人は決して少なくないんじゃないかと思う。自分も,ひねくれものでありながら集団行動の論理が染みついていたので,ハツと絹代の間にいるような学生生活だった。

 

なんにせよ,感情の描写が鋭い(僕が言うまでもことだけど)。ハツのにな川への感情を「蹴りたい背中」って表現したの,天才ってこういうことを言うんだなって思う。